🇫🇷 フランス · 近代
アロマテラピーマッサージAromatherapy MassageMassage aromathérapique
精油を適切に希釈したオイルなどと手技を組み合わせるマッサージ。エフルラージュ(軽擦)やペトリサージュ(揉捏)などが教育で扱われます。手技や香りの選び方は一律ではなく、受け手の希望を尊重します。
基本データ
- 起源
- 🇫🇷 フランス · 🇬🇧 イギリス — フランス(リヨン)→ 英国
- 時代
- 1910〜60 年代(近代)
- 分類
- スパ・トリートメント / 現代ボディワーク
- 三人の先駆者
- ガットフォセ、ジャン・バルネ、マルグリット・モーリーなど。役割と時代背景を分けて紹介する。
- 精油の扱い
- 原液を肌に塗らない。精油の種類・製品・使用部位・本人の状態に応じて確認する。
- 紹介する基礎手技
- エフルラージュ(軽擦)、ペトリサージュ(揉捏)、圧を用いる手技など。採用する手技は教程で異なる。
- 団体と資格
- IFA(国際アロマセラピスト連盟、1985 年)、IFPA、日本の AEAJ(前身の日本アロマテラピー協会は 1996 年)など
- 技法
- オイル / ハーブ / リンパ
- 施術者が使う部位
- 手のひら / 指
- 媒体
- オイル
- 服装
- 素肌(ドレープ)
- 施術の場
- ベッド
- 所要時間
- 60〜90 分
- 別名
- Aromatherapy massage · Holistic aromatherapy massage · Essential oil massage · アロママッサージ · アロマトリートメント
歴史:精油の研究とマッサージへの応用
現代のアロマテラピーの歴史では、精油を研究したルネ=モーリス・ガットフォセ、医療の文脈で著述したジャン・バルネ、精油とマッサージの組み合わせを広めたマルグリット・モーリーらの名前が挙がります。ガットフォセの1937年の著書には『Aromathérapie』という題名が使われています。
モーリーに関連して語られる「個人処方」は、受け手に合わせて精油を選ぶ考え方です。歴史上の表現を、サロンでの医療的な診断・処方と混同しないよう、このページの実践紹介では「相談」「個別のブレンド」と表します。
一人の先駆者や一つの国だけで、現在のアロマテラピー全体を代表させることはできません。精油の研究、生活での香りの利用、マッサージ教育を、それぞれの背景からたどります。
考え方:香りと触れ方を、一人ひとりに合わせる
アロマテラピーは精油を用いる実践で、マッサージだけを意味する言葉ではありません。マッサージとして受けるときは、香りの好みと、触れられ方への希望を両方聞くことが大切です。精油を使わず、無香料のケアを選ぶこともできます。
「ホリスティック」という言葉は、身体だけに目を向けず、気持ちや暮らしも含めて人を理解しようとする姿勢を表します。施術者が相手の気持ちを決めつけたり、香りで病気を判断したりする意味ではありません。
ITECの教育資料にはエフルラージュ、ペトリサージュ、圧を用いる手技などが登場します。リンパに関する手技を含む教程もありますが、すべてのアロママッサージの必須手技ではありません。個別の手技の組み立ては、学んだ体系と本人の希望を踏まえて確認します。
発展:教育と実践の広がり
IFAなどの団体は、精油の知識に加えて、マッサージ、対人関係、倫理、安全な実践の範囲を学ぶ教育を行っています。日本のAEAJも、精油の安全な利用と日常生活での活用を案内しています。
「フランス式は医療、英国式はマッサージ」という説明だけでは、現在の実践の幅を捉えきれません。国名よりも、誰がどの教育を受け、どの立場で、どの方法を提供するのかを確認するほうが具体的です。
現代のアロマテラピーマッサージ
スパやケアの場で、手による施術と香りを組み合わせる形式があります。使用するものや香りの広がりは、受け手だけでなく同じ空間にいる人の希望にも配慮します。無香料を選ぶことや、使わないことも尊重します。
アレルギーや肌の状態、妊娠や治療中などの心配は事前に確認し、自己判断で精油を塗布・内服するための手順としてこのページを使わないでください。
この図鑑では、症状別の効能や他の手技との優劣を判定しません。研究は対象者・方法・期間によって条件が異なり、一つの報告をすべての人に当てはめることはできません。症状や治療についての判断は、適切な資格を持つ医療者に相談してください。
代表的な手技
言葉で触れ方を知るための紹介です。流派・施術者・受ける人によって異なり、実演指導や再現の手順ではありません。
エフルラージュ(軽擦法)
手のひらなどでなめらかになでる動き。オイルを広げたり、別の動きをつないだりする場面で紹介される。
ペトリサージュ(揉捏法)
手でやわらかく揉む動きの総称。強く揉むことを条件にせず、触れ方を相談する。
圧を用いる手技
手のひらや指などで圧を加える触れ方。位置づけや組み合わせは、教育体系によって異なる。
セッションの一例
受ける人との対話や同意を大切にした一例です。時間や順番は固定の正解ではなく、自己施術の手順書でもありません。
希望・体調・香りの好みを聞く
体調、アレルギー、肌の状態、香りを使いたいかを確認する。
使うものと触れる範囲を相談する
精油の種類数を固定せず、適切な製品と使用条件を確認する。無香料も選べる。
触れ方を確かめながら施術する
軽擦や揉捏などを本人の希望に合わせて組み合わせる。顔や腹部などを必須にしない。
感想と肌の状態を共有する
不快な香りや刺激は途中でも伝え、使用や施術を止められる。
大会との関係
大会の採点は、その大会のルールに基づく演技への評価です。手技や文化そのものの価値を順位づけるものではありません。参加条件や審査基準は公式規定をご確認ください。
よくある質問
Q.精油はそのまま肌に塗ってよいですか?
原液をそのまま肌に塗ることは避けてください。希釈率は精油・製品・使用部位・本人の状態によって異なり、全員に共通する数字をここで指定するものではありません。製品の注意表示と、精油の安全性を学んだ専門家の説明を確認してください。
Q.フランス式と英国式の違いは?
教育や歴史を説明する際に使われる区分ですが、国別に実践が二分されるわけではありません。精油の利用方法、マッサージの有無、施術者の教育と業務範囲を個別に確認してください。国名を根拠に精油の内服を勧めるものではありません。
Q.妊娠中でも受けられますか?
妊娠中は体調や精油の使用について特別な配慮が必要です。自己判断せず担当の医療者と、妊娠中のケア・精油の安全性を学んだ施術者に相談してください。香りを使わない選択もあります。
Q.効果は科学的に証明されていますか?
この図鑑では、症状別の効能や他の手技との優劣を判定しません。研究は対象者・方法・期間によって条件が異なり、一つの報告をすべての人に当てはめることはできません。症状や治療についての判断は、適切な資格を持つ医療者に相談してください。
Q.「スパインワーク」はアロマの基本手技ですか?
今回確認した教育資料では、アロマ全体に共通する基本手技名として確認できませんでした。個別の学校で使われる可能性は否定せず、この図鑑では軽擦や揉捏など、根拠を示せる名称を紹介します。
用語集
- 精油Essential oil
- 植物から水蒸気蒸留や圧搾で抽出した揮発性の芳香成分。
- キャリアオイルCarrier oil
- 精油を薄める植物油。スイートアーモンド、ホホバなど。
- 光毒性Phototoxicity
- 柑橘系精油などが日光で皮膚反応を起こす性質。
- 個別のブレンドIndividual blending
- 好みや使用条件を確認して精油を選ぶこと。歴史的な「個人処方」という表現を、診断や医薬品の処方と混同しない。
- エフルラージュEffleurage
- 軽擦法。なめらかになでる動きを表す手技名。
- ペトリサージュPetrissage
- 揉捏法。揉む動きを表す手技名。
出典・参考資料
本文は次の一次資料・公的機関・学術資料・団体の公開情報に基づいて書かれています。
- [1]Gattefossé, René-Maurice. Aromathérapie: Les huiles essentielles, hormones végétales. Girardot, 1937.一次資料
- [2]Maury, Marguerite. Le capital jeunesse. 1961 (English: The Secret of Life and Youth).一次資料
- [3]Valnet, Jean. Aromathérapie: Traitement des maladies par les essences des plantes. 1964.一次資料
- [4]Tisserand, Robert & Young, Rodney. Essential Oil Safety, 2nd ed. Churchill Livingstone, 2014.書籍
- [5]International Federation of Aromatherapists (IFA)(新しいタブで開く)団体
- [6]公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)(新しいタブで開く)団体
- [7]ITEC — iUCT20, Provide basic aromatherapy techniques using pre-blended oils (2019)(新しいタブで開く)団体
- [8]IFA — Professional Aromatherapy Diploma Course(新しいタブで開く)団体
- [9]AEAJ — アロマテラピーとは(新しいタブで開く)団体
- [10]AEAJ — 安全に楽しむために(新しいタブで開く)団体
この記事について
公開資料をもとに編集しています。出典の掲載だけで、当事者・専門家の確認や効果の実証が済んだことにはなりません。呼び名や説明の違い、補足や訂正について、担い手の皆さまの声をお寄せください。
説明へのご意見・訂正を届ける- 編集
- Massage Championship World Tour
- 最終更新
手技固有の図解は、内容・出典・利用条件を確認してから掲載します。生成した挿絵は説明用と明記し、人物・取材・施術の記録写真として扱いません。
関連する技術
バリ(インドネシア)
バリニーズマッサージ
Balinese MassagePijat Bali
バリ島のスパなどで出会うオイルマッサージの名称です。長いストロークや揉む動き、香りを組み合わせる実践があります。地域の暮らしの中のケアと、観光スパのメニューを同一視せずに紹介します。
オイル · 圧 · ハーブ
伝統マッサージスパ・トリートメント詳しく見る →ケーララ(インド)
アーユルヴェーダ・マッサージ(アビヤンガ)
Ayurvedic Massage (Abhyanga)अभ्यङ्ग (Abhyaṅga)
アビヤンガは、アーユルヴェーダの文脈で行われるオイルを用いた手技です。油を広げ、なでたり揉んだりする実践があり、家庭での養生、専門施設、スパでは位置づけが異なります。ドーシャなどの概念は、その伝統の説明として紹介します。
オイル · ハーブ · 温熱
伝統医療体系詳しく見る →日本
フェイシャルマッサージと古美道
Facial Massage and Kobido古美道(こびどう)
古美道(Kobido)は、日本の顔への手技に関わる名称・体系です。速い指の動きや揉む動きなどが紹介されています。顔へのマッサージ全般と同義ではなく、流派の伝承や名称の扱いは個別に確認する必要があります。
顔 · 頭 · リンパ
伝統マッサージ美容マッサージ詳しく見る →
